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お知らせ

  • 2014年11月17日 古典に学ぶ 人生の楽しみ/三つの楽しみ
  • 【人生の楽しみ】

    林類(欲望を捨て去って、木や林の類に近い人物)は、もう百歳近い老人である。春なのに、まだ冬の毛皮を着たまま、田のあぜで鼻歌まじりに落ち穂をひろっている。おりから衛の国へ行く孔子が、この姿をみかけ、弟子たちをふりむいた。子貢が問うた。「ご老人、落ち穂ひろいなどしているのに鼻歌ですか。ご自分をみじめだと思いませんか。」林類はわらった。「ひとがみじめと思うことがわしには楽しみなのだ。お前のいうとおり若いころ勉強しなかった。おとなになって出世など考えなかった。だからおかげで長生きできたのだ。だから楽しいのだ。」

    (参考:奥平卓・大村益夫訳「老子・列子」):徳間書店

    【三つの楽しみ】

    孔子が泰山を旅行したとき、栄啓期(えいけいき)と出会った。孔子はたずねた。「何がそんなに楽しいのですか。」「たくさんありますよ。天が作ったもののなかでも、人間は万物の霊長。わたしはその人間に生まれることができた。これが第一の楽しみ。その人間には男女の別があって、男の方が身分が高い、わたしは男に生まれた。これが第二の楽しみ。せっかく人間に生まれながら日も月も見られず、産衣のまま死んでゆく者もいる。それなのにわたしはもう90歳だ。これが第三の楽しみ。」

    (参考:奥平卓・大村益夫訳「老子・列子」):徳間書店