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お知らせ

  • 2015年07月06日 古典に学ぶ 夢と現実 その1 / 夢と現実 その2
  • 【夢と現実 その1】

    鄭の国の話。ある男が山でたきぎをとっていた。そこへ何をおどろいたか鹿が一頭とびだした。 男は、これをうち倒した。人に見られてはと、あわてて水のかれた池にかくし、上に草をかぶせておいた。 ところがうれしさのあまり、かくし場所を忘れてしまい、とうとう夢だったことにしてしまった。 道々ブツブツひとりごとをいいながら家に帰った。

    (参考:奥平卓・大村益夫訳「老子・列子」):徳間書店

    【夢と現実 その2】

    ところでそのひとりごとをきいていた男がいた。男は耳にしたことばを手がかりに鹿をみつけ、わが家にもちかえって妻にいった。 「さっき、たきぎとりが夢で鹿をとりながら、かくした場所を忘れたのを、おれがさがしてとってきた。あの男は正夢をみたんだな」。 妻はいった。「あんたこそ、たきぎとりが鹿をとった夢をみたのでしょう。この辺にそんな男はいないわ。今はほんとうに鹿を手にいれたんだから、あんたが正夢をみたのよ」「とにかく鹿を手にいれたのだから、どっちが夢をみたにしてもおなじことさ」

    (参考:奥平卓・大村益夫訳「老子・列子」):徳間書店